東京地方裁判所 昭和50年(行ウ)168号 判決
一 まず、被告の本案前の申立てについて、判断する。
原告の本件訴えの利益の点について、検討するのに、原告が昭和五〇年一月二〇日、被告に対し、本件特許権について、特許権の一部抹消登録申請をしたが、被告は、同年二月二〇日付で原告に対し、本件却下処分をし、右却下処分通知書が同年三月一一日頃、原告に送達されたこと、次いで、原告は、その後同年三月一八日、被告に対し、再度、右登録申請をしたところ、同年四月二二日、本件特許権について、申請どおりの特許権の一部抹消登録がされたことは、当事者間に争いがない。しかして、特許権の放棄による消滅は、登録により、その効力を生ずる(特許法第九八条第一項第一号参照)ところ、本件却下処分及び本件決定が取り消され、その効力が失われても、そのことによつては、右の特許権の一部放棄の登録がされたという事実を左右することはできないから、原告は、その取消しにより、現在の法律関係に何らの影響も受けない。原告は、この点に関して、特許権の一部抹消の登録申請書が提出されたのに、その抹消の効果が、いつされるかも分らない登録に左右されるとすれば、損害を被るのは申請人であつて、そのような場合には申請の日に登録がされたものとして取り扱うべきである旨主張するが、そのように取り扱うべき法律上の根拠はないから、原告の右主張は失当である。
以上の次第であるから、原告の本件訴えは、いずれも、すでにその訴えの利益がないものというべきである。
二 してみれば、本件訴えは、いずれも不適法であるから、これを却下する。